サマリタン

映画、本、毛糸もろもろ。

夜の銀座

久しぶりに銀座に行ったら、なんだかキラキラとまぶしかった。
渋谷や新宿よりは変化が遅い街ではあるが、
季節が変わると、全く表情が変わってしまう。
たぶん大掛かりな壁面広告が多いせいだろう。
今日は、丸の内線とソニービルの地下付近の柱広告が、
エルセーヴのピンク色の広告で溢れていた。
4丁目に向かう地下通路は、モンブランの広告が並ぶ。
栗山千秋と坂本龍一のポスターがしつこいくらい貼ってあった

銀座は、いつもどこかで工事中だ。
やっと完成したかと思ったら、またすぐそばで建替えが始まる。
特に、シャネルのビルは、工事期間が長かったように感じる。
ずっと作りかけのイメージ。
かつてはワーナーブラザーズのオリジナルグッズショップがあった立地である。
WB撤退後、一時期ダイエー系のブティックが入っていた。
1年間だけの短期契約だったはず。
不吉なくらい、しょっちゅうテナントが変わった時期があったのが、
2000年代に入ってから、一転して、全面黒い壁と
動くイルミネーションも鮮やかなシャネルビルである。
後ろ側には駐車場の入り口があるのだが、
アスファルト上に描かれた「CC」のマークが、
車のターン用の丸いマークを兼用しているのが、とってもオシャレだ。
外から見ると、買い物をしている人らしき影が見えるが、
一体、どんな人が、何をどれくらい買っているのか。
このビル、最上階には、最高級フレンチレストラン、トゥール・ダルジャンがある。
別世界だな。私は一生行かないと思う。
トゥール・ダルジャンといえば、トリュフチョコを食べたことがあるくらい。
トリュフ3つで、840円だった。マキシムより高い。

さらにシャネルに続いて、ディオールが晴海通りにオープンしていたことを
すっかり忘れていた。それほど新しいことでもないのに。
正面外壁一面にドドーンとDiorの文字が輝く。
右上部には☆が乗っかっているのに、今日気がついた。
一つのアクセサリーのデザインのようなビルだ。

最近の、銀座のブランド旗艦店は、外壁を一枚の絵のように使うので、
夜にはイルミネーションの存在感が際立つ。
高さ制限もあるし、形状も単純な長方形の立方体の
何の変哲も無いビルだからこそ、外壁で勝負なのかも。
どれも、ギフトボックスみたいで、ミニチュア感というか、ジオラマのようだ。
さきがけは、エルメスビルだった。
オープン当日の新聞広告では、ビルを箱に見立てて
エルメスカラーであるオレンジのリボンをかけたデザインだったし。
ガラスブロックを積み重ねて、透明感を出した外壁は
砂糖菓子のようで、愛らしい。
シャネルはブランドカラーである光沢のある黒を一面でクール。
ディオールは、交差する光線で描かれる幾何学模様がダイヤモンドみたい。
ガラス張りよりも、ちょっと中が見えないくらいで、ちょうど良いのだろうか。

銀座の街を歩いていると、自分が小さくなって、
ショーウィンドウの中を歩いているような気分になる。
銀座は、高度に洗練されたアイコンの集合なのだ。
お台場や品川、六本木をいくら再開発しても、
銀座のような雰囲気は出せないと思う。

今日の一言。
銀座の夜は意外と早い。