サマリタン

映画、本、毛糸もろもろ。

路地の奥には。

とある駅前の路地である。
すぐに通り抜けてしまうほど短いが、
薄暗くて、細い道。
通り抜けるとき、ちょっとだけワクワクする。

路地のある街並みが好きだ。
すべてが見通せるような明るさよりも、影があるほうが居心地が良い。
最近は安全重視で、監視カメラや死角を作らないような、
明るくて透明な街づくりが流行っているが、
「地域の安全」よりも、不審者探しに躍起になっているみたいで、
ヒステリックになっているようだ。
結局のところ、不審者が犯罪を犯すというよりは、
事後的に「不審者だった者」としての犯罪者という、
過去形でしか定義できないのではないか。

六本木や丸の内の再開発は、
少し洒落た外壁や内装をした大きなビルに、
所々に、取って付けたような広場やベンチが用意されていて、
季節ごとにイベントと模様替え、テナントの入れ替えを繰り返している。
どれも、ディズニーランドもどき、金太郎飴みたい。
オープンカフェで珈琲を飲みながら本を読んだり、おしゃべりしたりするのも、
結局、設計された通りに行動しているだけなのではないかと、
むなしくなることはないか。
本当にオシャレなのか。
その値段と見合ったものなのか。
高すぎやしないか。
かくれんぼも出来ないような街は、ちょっと息が詰まる。

来月には、防衛庁跡地のミッドタウンがオープンする。
さて、またおのぼりさんでごった返すのだろうか。

今日の写真
カフェじゃなくて喫茶店です。