サマリタン

映画、本、毛糸もろもろ。

サクラサク


満開直前。

桜はすっかり満開だと言うのに、今週に入ってから寒かったり雨だったりと、
今年は花見日和と言える日が来ないままに散ってしまいそう。
そもそも花見と言う習慣自体が、幕末以降のものと言うが、
街中の桜は、身近で親しみ易い存在だ。
ソメイヨシノは寿命が短いが、成長が早く、巨木にもならない。
空間の限られた都会と相性が良いようだ。

しかし、桜は本来華やかな花ではないと思う。
むしろ、山奥で孤独に佇む密やかな花だ。
旅の途中、列車の窓から山の中腹に白い箇所が見えるときがある。
その姿を直に見るまでもなく、想像だけで気高さと妖しさに魅入られる。
かつて西行法師が詠んだように、
いつか最期のときはその下に倒れ、
山奥のしじまに降りしきる花びらがすべてを覆い尽くしてくれるような、
桜の森の満開の下』のように、ふと狂気に取り憑かれてしまいそうな、
死の匂いがする花なのだと思う。

今日の一言。
彼岸花もまた同じ。