サマリタン

映画、本、毛糸もろもろ。

ドッグ社交界、自由、モール、おしゃP…

最近の女性誌、特に読者層が30歳以上の雑誌の造語力がすごいことになっている。

やたらポーチやらバッグがおまけについているのが主流になってしまって、差別化が難しいらしい

表紙のキャッチコピーがひねり過ぎてわからないのだ。

今月号だけでもこんなラインナップだ。

「ドッグ社交界(ソサエティ)」 by 25san

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もちろん土佐犬とか秋田犬を連れているわけではなく、
ダルメシアンとか、ミニチュアダックスフントとか、トイプードルだ。
小型犬の場合、十中八九、犬に服着せてる。
で、「マロン」とか「ショコラ」って名前だ。
「太郎」も「ポチ」もいない。
犬といるときくらい、人づきあいの煩わしさから解放されたいと思うのだが、そうはいかないらしい。

「自由のためにはくミニです!」 by STORY

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40代だからってミニスカートを履くな、とは言わないけど、
履きたいと思っている40代がどれくらいいるものなのか。

『STORY』は光文社発行の(一応)40歳以上の女性向けの雑誌である。
『CLASSY』を卒業すると『STORY』を読むことになっている。
この雑誌内で完結した独特の世界観は『CLASSY』と地続き。
旦那の会社と子どもの学校が至上命題
女は若ければ若いほど良い、と思ってる節がある。
超保守派。
どう考えても、サラリーマンには無理なお買いものを、
マストバイと言い切ってしまうカマトト雑誌。

そもそも雑誌自体が「自立」や「自由」とは全く逆方向のベクトルに向いている。
何から自由になりたいのかわからないが、

自由になって困るのは、ここに出てくる奥様たちではないだろうか。

「おしゃれな人はモールを知っている!」 by VERY

「モール」と言ってももちろん「もぐら」のことではなくて、
「ショッピングモール」のことだ。
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モールってあまりおしゃれじゃないと思うのだが、
私にとっては、本屋があるかどうかが判断基準なので、
私の知っているモールは、『VERY』の言う「モール」とは違うのであろう。

例えば、表紙にも載っているラゾーナ川崎には丸善と映画館(I-MAXシアター!)があるところが好きだ。
ゲームコーナーが広いくらいしか良いところが思いつかない。
大型で、駅と直結していて、マンション群に近いという意味では、便利だが、
おしゃれ…かなあ。
新しくて綺麗だとは思うけど。

そもそも、ショッピングモールの店は、通りすがりの客をいかにして呼び込むかが勝負である。
「常連」も「いちげんさん」も関係ないということだ。
これは、消費の階級付けを無効化する力がある。

「ママが独身の頃から愛用」とか、「私、ここのオーナーと仲良しなの」みたいな
本来消費に過剰に意味づけする『VERY』的志向とは合わないはずだが、
ある意味なりふりかまってられないのだろう。

本当のお金持ちはショッピングモールには行かないと思う。


「おしゃPのそこが知りたい!」 by JJ
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かつての女子大生購読必須の『JJ』も、
CanCam』に追われ、『SWEET』にも追われ、最近迷走気味。
何しろ、安室ちゃんを表紙にピンクの文字って、『SWEET』(宝島社)か。

どうやら「おしゃP」とは「おしゃれプロドューサーズ」らしい。
ニコニコ動画にオリジナル曲をアップする人ではない。

流行らせたいらしいけど、多分無理。
「おしゃP」がどこで何をしている人を指しているのかはよくわからない。
『VOGUE』や『ELLE』でも取り上げられたが、
近頃、ファッションをメインにしたブログに注目が集まっているようだ。
そうした「ブロガー」が、
パリやNYのコレクションで、フロントロウに座っている記事も見かけるようになった。
多分に、ここで言う「おしゃP」も、
ネットで、コーディネイトや買い物リストを紹介している人たちを指していると思われる。
JJをよく読んでいる女の子がネットのヘビーユーザーとも考えにくいが、
何をどう狙ったのか、そんなに大文字にしなくても良いと思う。

どれも似たような雑誌に見えるが、
細分化されつくした女性誌の場合、
どの雑誌を読むかによって価値観も異なるので、
結果として、生き方まで違うものである。

この4誌は比較的目指す方向性が近いと言えるだろう。
露骨に言ってしまえば、
「女から見て羨ましい女」を目指しているってことだ。
一世を風靡した「えびちゃんOL」的生き方の理想型とも言っていい。
舶来志向が強いが、留学しようとは思わない。 IKEAコストコで十分なのだ。


が、今やどの雑誌も迷走中に見える。

すっかり忘れたころに休刊になってるかもしれない。