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サマリタン

映画、本、毛糸もろもろ。

映画レビュー『オブリビオン』

こんばんは。久しぶりの更新が深夜2時です。 
 
今更ながら『オブリビオン』感想です。
IMAX3Dで見てきました。 
ついつい長文になりがちで
なかなか記事に出来ないので、
今回は箇条書きで、簡潔にしたいと思います。
ちょいちょいツイッターで言及しましたが
改めてまとめてみました。

【予告編から序盤の第一印象】

・ひたすらトム、トム、トム。
 出ずっぱりである。
 『アイ・アム・レジェンド』や『月に囚われた男』を思い出した。
 
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ウィル・スミス出ずっぱり。 
 
 
・ドローン、バブルシップ、スカイタワー、テット等のデザインが
 やや既視感もあったが、印象的。
 ガラスや水を使って透明感と、
 白からグレイがかった色調に統一された世界と、
 荒廃した地上を覆うすすけた色合いによる対比は、
 SF世界で良く見るパターン。

 
  
 
・ヴィカ(アンドレア・ライズブロー)の伏せたまつ毛に萌えた。
 これがナチュラルメイクか、と感嘆した。
 
『オブリビオン』01.jpg 
 
・ジュリア(オルガ・キュリレンコ)のタンクトップ一枚にも感嘆した。
 やはりナチュラルメイクだったが、ハッキリ二重で目力強力。
『オブリビオン』02.jpg 

※なお、ナチュラルメイクとは、
 素顔に見えるようにメイクするという
 高度な化粧の技法のことである。 
 
以下、ネタばれを含む。
【物語を振り返った印象】

oblivion(忘却)とは、タイトル通りと言えばその通りだったね。

・ジャックとヴィカとジュリアの三角関係は『トータルリコール』と同じく、
 与えられた女から自由意思の女への乗換が発生します。
 
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ひたすら(偽)嫁に追われます。 
 
 
・ヴィカ=「与えられた女」
  いわゆる金髪碧眼(ちょっと違うけど)で、白い肌のアーリア系
  自分の意思よりも、現状維持を最優先
  自尊心を傷つけない、手に負える範囲内の知性と意思
  些細な日常の雑事をこなす世話係
  
・ジュリア=「自由意思の女」
  オリエンタリズムを誘う黒髪と褐色の肌
  自由意思と個人を尊重
  男を煩わせない程度に、逞しく賢く
  迷った時には導き、成長を促す存在

  ※何しろ、ジャック亡き後、出産育児をこなすくらいだからな。

・どちらの女も男にとっては理想の女であり母親でもある。

・二人のヒロインは、ジャックを支える存在であり、
 ジャックの期待や意思を大きく外れたりはせず、
 傷つけたりもしない。

 ヴィカのもとからジャックが去ろうとするときも、
 ヴィカはジャックを傷つけたりしない。
 ただ、かたくなに否定するだけだ。

・ヴィカが、記憶を消される前からジャックを愛しているのはずるいだろ。

・物語の序盤は、
 与えられた任務をこなすジャックにとって、
 ヴィカは、幼少期に必要な世話をしてくれる母親と同じ存在。

・転換点となる図書館での襲撃と
 ビーチ(モーガン・フリーマン)との出会いによって
 ジャックが迷いと疑問を持つようになると、
 母親の庇護下にあった少年が、
 自立を求める青年期のように
 成長を促してくれる存在としての女が必要になり、
 新しいヒロイン=ジュリアが、空から降ってくる。

・ビーチは、ジャックにとって唯一の大人の男であり「父」であり、
 「母の庇護下にある甘い世界」の外にある
 現実と自立をつきつける存在。

・「親方!空から数千ものトム・クルーズが!!」
 ビーチは地獄を見たね。

・登場人物の掘り下げはあえてしていないと解釈した。


【その他】

・『ブレードランナー』や『2001年宇宙の旅』への言及は
 今更なので割愛。
 ※『二都物語』は未読。

アンドリュー・ワイエスの使い方がちょっともやっとしたまま。

・ジャックは秘密の家を持っていたが、
 あれは、一人で作ったものなのか、
 それとも過去に存在した
 何人ものジャック49号が作ってきたものなのか。

・劇中では、49号と51号しか登場しなかったけど、
 地上にはあとどれだけのジャックとヴィカがいるのか。
 数千人のジャックとヴィカの処遇については、
 また別の物語が必要と思われる。

・記憶を奪われ、任務に忠実なクローンが作れたとしても、
 数多のクローンのうち、
 誰か、たった一人でも自己に目覚めれば、
 完璧に見えるクローンによる管理構造は崩れる。
 そして、必ず、いつか、
 クローンが目覚めるのだということが
 この物語の奇跡であり、
 人類の可能性への期待なのだと思う。

 
【解釈】

これは私の勝手な解釈なのか、
監督や脚本家の意図通りなのか不明ですが、
オブリビオン』は、
少年が自立する過程の物語であり、
望ましい家族像を親切設計した物語なのではないかと思うのです。

クローンであるジャックは、
赤ん坊として生まれたわけではなく、
肉体的には大人であっても、
与えられた知識と、
せいぜい5年程度の経験値しかない
精神的には少年程度の男に過ぎない。

中の人がたとえ50歳のトムであろうとも!

主人公を取り巻く登場人物が
役割に忠実で、余分がない。

母親の役割を二人のヒロインが担い、
目覚めと成長を施す父親は、
最後には共に命を賭してくれるのである。

余計な干渉もなく障害にもならない。

現実では、
家族は支えであると共に
ときに障害となり、
負担となるものである。
自分自身を構成する一部でもあり、
自己愛と自己嫌悪の源ともなりうる。

そうした、面倒なしがらみを一切排し、
思春期に自己を確立する過程で、
家族との向き合い方が変化することにのみ注視した
「少年が大人になるための機能と役割」に徹底して忠実な
登場人物は、深く掘り下げる必要もない。

人類を排した地球を、
侵略者のために、
無自覚に管理する、
数多のクローンたちの中で、
最初で最後に目覚めた49号が、
十代の少年程度の知識と経験から
二人のヒロインと、一人の老人の助けを得て、
自己を確立する過程で
人類を救い世界を変えることになる物語。

書いているうちにやっぱり長くなりましたが
オブリビオン』は面白い、良い映画だと思います。

リメイクや続編ではない、
オリジナルのSFとして、
きちんと確立した世界観のある
硬派のSFだと思います。

☆3と1/2(5点中)


今日の一言。

「親方!空から俺の嫁が!!」
何なの、この美味しいシチュエーション。
つか、さっきから親方って誰よ。 
 
このトムも、ジャックです。