チューリッヒ美術館展に行ってきた。
先週だが、六本木の国立新美術館で開催中のチューリッヒ美術館展に行ってきた。
芸術の秋、と言わんばかりに、都内各所で大型企画展示会開催中だが、
このチューリッヒ美術館展は、西洋絵画の近現代史を大まかに眺めるには
とても良い展示会だったと思う。
19世紀末から20世紀初頭を中心に、西洋絵画史の潮流の重要な作家、作品が
時代を追って展示されており、順を追って変化がつかめる。
分かりづらいといわれる、フォービズム、キュビズム、シュルレアリスムも、
大家の作品を揃えており、飽きさせない。
特定の時代を掘り下げたり、ある作家を中心に扱う特別展も良いが、
流れを汲みとるにはこれくらいが良いのかと思う。
ヨーロッパは18世紀の産業革命によって、
価値観の中心が、宗教から産業に以降し、
芸術も、教会や国からの保護が無くなり、自由で不確かな時代に入る。
19世紀末には、写真が広まり、映画が発明されたことで、
見たものを写し取ることの意味は変わり、絵画は大きく変化せざるを得なくなった。
ときに世紀末。厭世感と終末観が漂う。
20世紀前半は、二度の長く悲惨な戦争を経て、「国家」に振り回され、
人間の善良さを信じられなくなった。
そして、経済中心の思想による世界の分断で、
芸術家自身の居所もさらに不確かなものとなる。
今の時代も後から振り返れば激動の時代となるのかもしれないが、
やはり19世紀末から20世紀半ばまでのヨーロッパは、
大きな価値観の転換点だった。
20世紀に入り、芸術家の使命は神ではなく自ら与えられるようになる。
「私の見た世界」をどう表現するか。
その変遷と今に至る道筋を見た。
一枚の絵に、複数の視点を持ち込んだり、
極限まで細部を切り落として幾何学的に物を表現しようとした
今の時代にいたら、GoProつけて動画投稿してるのではないだろうか。
お土産のクッキー缶。今回の展示会、フォントがすごくかっこいい。
中のクッキー。良い。
なお歴史や芸術に関する記述は、すべて私の私的な考えであります。