サマリタン

映画、本、毛糸もろもろ。

鈴木邦男×真鍋厚「わたしの中の〈テロリスト〉~絶望の時代を生きるための暴力論~」に行ってきた。

またもや2か月ぶりの更新となってしまった。

今度もまた「テロリストワールド」刊行記念イベントに行ってきた。

6月22日(水)に東京の神保町にある東京堂書店で行われた、

真鍋厚氏と鈴木邦男氏の対談である。

 

6/22(水) 19時~ 『テロリスト・ワールド』(現代書館)刊行記念 鈴木邦男さん×真鍋厚さんトークショー 「わたしの中の〈テロリスト〉~絶望の時代を生きるための暴力論~」 | 東京堂書店 最新情報

 

参加費は500円と手頃ということもあり、

当日に参加を決め、少しだけ古本屋に立ち寄ったりもしてきた。

東京堂書店は数年前に改装してカフェが併設されていたり、

オシャレな店構えになったが、品揃えは充実しており、

すぐ近くの三省堂書店の広さに比べたら小さく感じるかもしれないが、

必ず、何か欲しくなるような魅力的なお店である。

Amazonも便利だが、実際の書店の良さを感じられる良い本屋さんだと思う。

 

さて、今回のトークショーは3回目となる。

4月の津田大介氏、5月には宮台真司氏と続き(私は2回目は行けず)、

今度は、著書も多数あるベテランの評論家である鈴木邦男氏と対談である。

参加者も鈴木氏のファンと思われし方々も多く見かけた。

 

時間は1時間程度と若干短めながら、ライブながらの発言も多く、

知的刺激にあふれたものとなった。

 

私が気になった話題についてまとめてみた。

 

2016年5月のフロリダ州オーランドの銃撃事件に触れて

 犯人は事件中に911に電話をし、自分の行いがテロであることを主張しており、

 テロ=正義、公正を求める暴力行為とすれば、

 個人的な恨みや疎外感を動機とする犯行とするよりも、

 大義のある行動として理解を求めている。

  

 一方で、アメリカ社会には、男性に対して、男性らしさ=マッチョ志向が強くあり、

 その不適合の歪みとしての犯行なのではないかという解釈もある。

 過去の大量殺人や銃乱射事件の多くは男性によるものであり、

 一人前の男性として認められないこと、落ちこぼれたことからくる疎外感や、

 強い鬱積が共通しているのではないか。

 

 2015年のカリフォルニア州サンバーナディーノの事件に比べ、

 犯人の個人的な側面が多く報道されており、

 動機が個人的であると見做されたことで、事件が個人の物語に収束している。

 

 「アメリカの、アメリカ人による、アメリカ人に対するテロ」としての側面があり、

 アメリカ社会での落ちこぼれ(=ヘタレ)からの攻撃でもある。

 

 何故多数の人を殺すのか。

 犯人は、犯行前に過去の銃乱射事件を参照し、

 より「大きな数」を狙っていると思われる。

 犠牲者が多いほど、注目もされる。

 理解されたい、承認されたいという欲求。

 

日本の状況 必要な犠牲はあるのか

 世界史を学ぶということは、洗脳でもある。

 過去の革命や戦争は「必要な犠牲」だったのか?という視点の欠如。

 多数の犠牲者を出した出来事を肯定的に必要だったと認めてしまうことで、

 将来の「大義のための破壊行為、暴力行為」を認めることにつながる。

 

 エコテロリズムの理論もまた、生き物や地球環境を守るために、

 死者もやむなしとする考えがある。

 公民権運動の延長として、動物や自然環境もまた、

 権利を獲得する戦いをしているという考え。

 

SNSと言論の荒廃(日本の場合)

 TwitterFacebookのようなSNSによって誰もが発言出来る技術が根付いてきた。

 しかし、散漫で、ときに傲慢な言葉の暴力もまた溢れている。

 

 いわゆる「ネトウヨ」と言われるような、愛国主義的で、強い言葉が目立つ。

 しかし、「文学」足りえない大量の言葉があるだけで、

 主義主張としてのまとまりはない。

 

 理想とする「すべき行い」「あるべき姿」の中に、

 社会全体、弱者への目線がない。 

 共同体意識、一体感の欠如。

 

 同じ日本人でありながら、自分以外を「異質な他者」とし、

 一方で、理解を求め、認められたいという心理を感じる。

 

 不快な言葉は見ないことも出来るにも関わらず、強い中毒性がある。

 見えない発言者とのやり取りばかりに熱中してしまう。

 

テロリズムと宗教、愛国心

 本来大義のためであれば「殺人」は必要ないこと。 

 愛国心や信仰心はともすれば傲慢になる。

 生まれる国をあらかじめ選べない。

 愛国心は付与されたものを宿命化するもの。

 日本では、宗教の話題になると、日本人にとって都合の良い、

 耳心地の良い話になりやすい。

 過去にあった宗教弾圧やそれによる犠牲を学ぶ必要がある。

 日本人の心理は、個々人では謙虚な態度を示すが、国単位になると傲慢となる。

 

感想

 テロリスト、殺人を犯すものは「普通の人」ではないのだろうか?

 むしろ「普通」と地続きにあるものなのではないか。

 

 テロリストを名乗ろうとも、

 個人的な鬱積が動機であろうとも、

 むやみに他者を殺傷する行為の道徳的な位置づけに差はないのではないか。

 

 何故、個人的な動機で事件を起こしているのではない、と主張したがるのか。

 社会での「敗者」であることを認めたくない心理や、

 社会になじめないこと、希望の仕事に就けないこと、貧しさなど、

 一般的で小さな不幸は、一方で解決も難しく、大きな不幸をもたらすものである。

 弱者の立場に甘んじることへの疲弊があるのではないか。

 

  SNSは、チュニジアを発端としたアラブの春で使われたように、

 一体感を高揚させる力もある一方で、

 言葉で溢れるディスプレイを眺めたときに

 雑踏に淋しさで立ち尽くすような、

 取り残されたような、孤独感に襲われるときがある。

 姿が見えない分だけ、言葉の量が存在感として現れることで、

 認めてもらいたいと望むだけ呟き続けることを強いられてしまう。

 弱者であることで連帯出来るとは限らない。

 不幸が多様であるように、弱者は多様で且つ孤立しているものである。

 SNSは仲間を探そうとすればするほど違いが目に付くものである。

 「私は私」というただそれだけのことがとても難しい。

 

 毎日の生活費のやり繰りや、ギリギリの生活、欲しいものを我慢することの連続、

 身近な人との些細な違いや距離感からくる疎外感、

 「劣っている」「負けている」「永遠に弱者」であると突きつけられる瞬間。

 「もっと苦しんでいる人もいる」ことは分かっていても、

 自分の苦しみは自分だけのものだ。

 誰にも理解されず、孤独を感じることは誰にでもある。

 そこに、マイノリティとしての属性を持っていたり、

 普段より少し強めの拒絶(結婚の終わり、失業など)によって、

 負荷が大きくなる瞬間がある。

 そんなとき、他者への暴力的な衝動が抑えられなくなる人がいるのではないか。

 テロリストをエイリアンだと思っているうちは、

 「わたし(たち)の中のテロリスト」を見つけることは出来ないのではないか。

 

「テロリスト・ワールド」出版記念トークイベント 真鍋厚×津田大介「テロは私たちの何を変えたのか? に行ってきた。

おはようございます。

今日はタイトルの通り、

3月25日(金)に高円寺までおでかけしてきた。

開催場所はここ。

高円寺pundit' | 高円寺パンディット

 

記憶が埋もれないうちにメモをしておく。

 

テロリスト・ワールド

テロリスト・ワールド

 

 2月に刊行された「テロリスト・ワールド」の著者

真鍋厚氏と、津田大介氏の対談である。

真鍋氏にとっては処女作だが、

以前から、自費出版で映像作品や映画批評の活動をしており、

映画等、映像表現への関心が高く、

「映像のなかの暴力」「暴力と映像」という視点から、

テロを扱った批評となっている。

映画やマンガなどが好きな人にとっても、

興味深いのではないかと思う。

 

版元の現代書館による新刊案内はこちら。

http://www.gendaishokan.co.jp/new06.htm

 

帯には〈暴力のリテラシー論〉と言う言葉もあるが、

私なりに言うと「テロとは何だろうか」を問を投げかけている。

テロリストとは何者か、

テロの主体は誰なのか、

テロリズムとは何なのかを、

主に20世紀の歴史的変遷を追いながら、

今、まさに起きていること、起こりうることを

考察するのに、とても役立つ一冊となっている。

 

政治学や国際関係論の専門書に比べて、

たいへん読みやすい文章で書かれており、

また、各章毎にテーマがまとまっているので、

気になる順に読んでも良いだろう。

軽い気持ちで読めると思う。

でも読み終わった後は、重たい気持ちにもなる。

また、最後に入手可能参考文献もあり、

入門編としても便利だ。

 

今回のトークショーでは、

メディアに造詣の深い津田大介氏の視点も入り、

本の内容からさらに一歩踏み込んだ、

または広がった内容となり、

示唆に富む刺激的な対談となった。

以下、箇条書きで気になった点、面白かった点を挙げておく。

 

テロリストとは何者か、それを決めるのは誰なのか。

・テロリストを自称するものはいない。

 

・既存の体制を脅かすものを、権力者がテロリストと呼び、異質なものとして囲い込むことによって、弾圧と排除を行うものである。

 

・テロが、自らの要求を遂行するために行う精神的暴力行為であり、意志を通すために実力行使に出ることをテロとするか否かの線引きは、恣意的にも、無自覚にも、曖昧になり、テロは拡大していく可能性がある。

 

・匿名ブログでの強い語調での書き込みが、デモに拡大し、政府への圧力となる現象もまた、テロにされる可能性があるということ。

 

・テロリストを検挙する事由として、特定のグループとの交流や、テロ行為に結びつくとされる情報へのアクセスがある。

 何(誰)と関わることがテロに結びつくのか、それを決めるのは誰なのか。

 

ネルソン・マンデラマハトマ・ガンジーも、かつてはテロリスト扱いをされていた。

 

・誰もがテロリストと呼ばれる可能性がある。

 

日本文化とテロ

・日本人は、「社会の不条理」よりも「社会の悪」を信じたがり、悪を外科的に取り除くことで、理屈が通るという考え方を好む。

 

山本七平による「応報思想」という指摘。

 

・死刑制度が廃止されないのもまた同じ理論なのではないか。

 

・「テロリスト」を絶対悪として捉え、テロの原因を社会システムの不備や、歴史的経緯による報復行為としては見なさない傾向がある。

 

・戦前の軍部による暗殺など、ロマン主義的(既存秩序の破壊、権力者の排除によって自ずと理想的な社会が実現するという考え)に基づいたテロ行為があったという事実。

 

・欧米では、移民、難民の流入により軋轢や衝突が日常化しているが、日本は距離があることもあって心理的にも身近ではない。

 

・植民地時代から今に至るまでの歴史的知識、関心が乏しい。

 

・経済的植民地主義ともいえる、西欧中心のグローバルな経済的抑圧構造に対して無頓着、無関心でいられる。

 

※日本人が海外で起こるテロ事件に対して無関心であったり、冷淡であるという意味とは異なる。

 

・今テロと言われている行為を完全に止めさせて、テロリストと呼ばれる人々をなくすことは出来ない。

 

過激派組織のプロパガンダ映像から見えること

・過激派組織が作成した勧誘ビデオを紹介。

 

ナショナルジオグラフィックBBCのような大手のドキュメンタリー映像並みの洗練されたタッチによる映像。

 

・カナダからやってきた若者が、過去にどんな暮らしをしていたか、今どんな暮らしができるのかを語る。

 

・快適な環境の付与、良き仲間と言った、居心地の良さをアピール。

 

・活動に加わることの意義、誰もが持てる技術や知識を活用し、貢献できるという、やりがいのアピール。

 

・美しい自然環境の中での、牧歌的で、かつてはあったとされる(実際にはありえなかった)古き良き時代の生活のアピール。

 

・語り手であるカナダ人青年が、実際の戦闘で銃撃を受け、死亡した瞬間も映像に収められており、回収された遺体も映し出されるという衝撃的な側面もある。

 

・現状への不満と、「何者かになりたい」という曖昧なアイデンティティの不安、帰属意識と承認欲求の戦いとしての過激派組織への参加。

 

差別主義者はテロリストなのか、なりうるのか

・いわゆるヘイトスピーチをする人々とはテロリストなのか。以後、テロリストになりうるのか。

 

・差別主義の活動がサークル活動的なガス抜きとしての作用もあり、規制や禁止によって先鋭化する可能性が高まるのではないか。

 

・実際に差別的な言葉を投げかけられる被害者がおり、それを放置・容認すべきではない。

 

・法制化によって引き起こされる問題の大きさ。自治体単位での対応が望ましいのではないか。

 

・ヨーロッパ諸国ではヘイトスピーチは法的に処罰対象としている例がある。一方アメリカではヘイトクライムを厳罰にすることで抑止しようとしている。日本はどの道を取るのか。

 

・悪意のある問いかけがされたとき、対応によっては差別に加担することになる可能性。

 

今後の日本社会の不安要素

日本会議と言った、一部の人々(主に中高年男性で組織された団体)の考える

(あったかどうかは怪しい)古き良き日本を復権しようとする動き。それによって起こる歪みがもたらすもの。

 

自民党の強さ、したたかさに対抗できる政党の不在。 

 

・結局のところ、既存の体制へ対抗するものであるテロリストの完全な排除は不可能であり、テロリストを生む素地を一つずつ減らしていく努力が必要。

 

・テロリストと呼ぶ者も、呼ばれる者も、同じ不安の上にある者同士の衝突であり、それを認識すること、共有することが必要。

 

・自分自身のアイデンティティが不安定だと、異文化であったり他者への不寛容が生じる。それによる、多文化共生の正しさと、実現の難しさ。

 

【個人的感想】

・日本で今後テロが起こるとしたら、やはり日本人によるものではないか。

 

・日本では、イスラム国のような組織の発信する、西欧文明を敵とみなすイメージを共有しファンタジーを維持するのは難しく、ヨーロッパで起こっているような事件とは異質になると思われる。

 

・ネット、SNSで顕在化する被抑圧者の声がある一方で、被抑圧者がタコツボ化しており、政策への反映や法制化には結びつきづらいのではないか。

 

・但し、日本では、暴力行為に及ばずとも、やり方によっては、声は届くし、要求は通る。

 

・所属意識を満たすコミュニティの不足状態による不安の増幅。

 

・時が経てばある程度自然に代替わりが起きる。今のまま変わらない部分もあれば、変わる部分もあるはず。

 

 

以上。

 

真鍋氏、津田氏の言葉に対して、勝手な憶測も含んだ内容となってしまった。

同じ話を聞いて全く違う感想や意見を持つ人もいると思う。

ほとんどすべてが私の個人的な感想と言っても良い。

テロとは何か、とは、落としどころのあるテーマでもない。

また、テロを悪・不正義とするならば、

テロとは何かとは、正義とは何かでもある。

下手に「まとめ」をすると、捨象されるものも多く、

結論めいたものはないままにしておく。

 

今回は不勉強を実感したので、

せっかく自前で持っている書籍も含めて、

もう少し、本書を読み込んでおきたい。

 

来月もイベントあるそうです。

興味を持った方はぜひ。

 

サイン貰ったよ。

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2016年も3月

今週は風邪をひいて、

せっかく当たった「ちはやふる」の試写会も行けず。

家でHuluとNetflixを行ったり来たり。

 

昨日(2016年3月11日)NHKBSプレミアムで

第88回アカデミー賞授賞式のダイジェストを見た。

誰が受賞するのかは既に知っていたけど。

今回はノミネートされた俳優が全部白人ということで

随分と社会問題化したが、

黒人に限らず、非白人はとにかく少ないという印象はあった。

中国系や韓国系含めて、アジア系の俳優さんはまだまだ少ない。

イ・ビョンホンがプレゼンターで出てきたのも、

バランスを取ったつもりなのかもしれない。

日本出身の俳優として、菊地凛子氏にはいろんな役で映画に出て、

アジア人女性のステレオタイプを打ち破ってもらいたい。

 

以上。

NetflixとかHuluとか。

絶賛Netflix & Hulu中毒である。

何を見ても、途中で投げ出しても、月2,000円って安いと思う。

 

私がよく行くツタヤで借りると、

準新作5本1週間(新作なら2泊)で1,000円。

旧作は1本100円。

新作準新作なら10本借りたのと同じ。

私の場合、テレビドラマシリーズをよく見るので、

それなりに元は取れていると思う。

 

近頃はNetflixオリジナルドラマも増えてきて、

レンタルショップでは借りられないドラマも増えてきたところであった。

また、途中でやめても損するわけでもない、というのが良い。

見ようかな、でも、好きになれないかも、

と思っていたシリーズにも手が出しやすい

 

「ヴァンパイア・ダイアリーズ」や

「プリティ・リトル・ライアーズ」のような

ティーンズ向けドラマは、シリーズも多く手を付けづらい。

 

以前、「ゴシップガール」をS3Ep2まで見た。

S1までは面白かったし、S2も続きが気になって

ついつい見てしまったのだが、

S3で主要な登場人物が高校を卒業して、

物語としても一区切りついたところである。

S3から、つまらないわけではないが、大学生にもなって、

秘密も守れないくせに、秘密だらけ、

しかも大した秘密でもないようなことをめぐり、

喧嘩したり、いじめてみたり、セックスしたりしているばかりで

すっかり醒めてしまった。

DVD1本に2話ずつ、S1だけでDVD9本はあった気がする。

一本100円で借りても900円。

これだけ見ると高くもないが、他の映画やドラマも見たい。

いまいちだなーと思いながら見るには、

時間もお金も勿体ないと思うようになってしまった。

ゴシップガール」は全部で6シーズンあり、

S3以降、また盛り返しもありそうなので、

区切りが良いところで見てもいいとは思っている。

 

「ヴァンパイア・ダイアリーズ」は「トワイライト」のヒット以降

むくむく増えた吸血鬼もののティーンズドラマ。

何かのDVDにS1Ep1が付録についていたので冒頭だけは知っているが、

結局、ヒロインを挟んで男二人(両方ハンサム)が争う三角関係を中心にした

恋愛ドラマのようなので、これまた手を付けられないでいた。

これも、自分の中でヴァンパイアブームが来たら見る予定。

同じくスーパーナチュラルネタでこちらはウェアウルフが主人公の

「ティーンウルフ」は日本には来ていない。

いずれ来るかもしれない。

 

そこで、Netflixオリジナルドラマ「ヘムロック・グローブ」である。

2013年スタート、つい先日最終シーズンのS3がリリースされたところだ。

「アメリカン・ホラー・ストーリー」S1や

「トゥルーブラッド」を見た頃から、

IMDbのおすすめに出てくるようになった。

流行りのスーパーナチュラル系ティーンズ向けドラマで、

シリーズ監督は、イーライ・ロスなのも話題の一つ。

主な出演陣に、ファムケ・ヤンセンやビル・スカルスガルドがいるのも

気になっていた理由の一つである。

ビル・スカルスガルドは、

ステラン・スカルスガルドの息子であり、

アレクサンダー・スカルスガルドの弟である。

これまでちょいちょい映画には出演していたが、

主演は「ヘムロック・グローブ」が初かと思われる。

ステランとアレクサンダーによく似ている。

ぜひ見てみたいと思っていたところである。

 

一話完結ではない連続もの、

主要登場人物は20歳前後と言う設定なので、

一応ティーンズ向けかと思う。

ビルと、もう一人に主人公であるランドン・リボアイアンも

ともにハンサムなので、目にも麗しいので、女性向けでもある。

エロ&グロ+サスペンスをメインとしており、

全体的に暗い話である。

やたらと謎やら秘密やら魔術やらマッドサイエンティストやら、

オカルトホラー要素はてんこ盛り。

イーライ・ロス監督ではあるがコメディ要素はない。

展開はスローテンポで、怪しげな雰囲気を醸し出しながら、

もったいぶったところがあり、途中、もたついた印象があった。

「扉の向こう側を見て驚く顔」を何度も見たような気がする。

いい加減、その扉の向こうを映してくれ、と思った。

 

1シーズンが10話程度なので、多少もたもたしても、

我慢して続きを見る気になれるところも良かった。

これで20話以上あったらちょっと辛い。

連続ものは、一つのシーズンが長すぎると、

ついていけなくなるので、大体10話から15話くらいまでが限界かと思う。

 

ウォーキング・デッド」や「ブレイキング・バッド」も

1シーズンの話数はそれほどないし、

8話くらいだと一気見もしやすい。

2000年代の海外ドラマの金字塔「24」はS1だけ見たが、

1シーズン24話、よく引っ張ったものである。

 

過去の人気作でもある「トゥルーブラッド」や「デクスター」や

「ロスト」他、J.J.エイブラムズプロデュースドラマ。

現在進行中の「グレイズ・アナトミー」や「NCIS:ネイビー犯罪捜査班」は

どうなるのかも気になるし、

中途半端な配信しかしていない「CSI:科学捜査班」とスピンオフや

ソフト化されていない「コールドケース」を含めた

ブラッカイマーブランドはどうなるのかも気になる。

 

HuluはNetflixスタートにより、月別配信が減ったようで嬉しい。

脱会予防に奇数シーズンと偶数シーズンを

月ごとに変えて配信していたのが減ったようだ。

「パーソン・オブ・インタレスト」が

以前はS1だけだったりS2も見られたり、随分と気まぐれな配信をしていたが、

Netflix対策なのか、今年の9月から

S2まで一気に見られるようになって良かった良かった。

 

Huluの傾向なのか、非アメリカドラマがそこそこあるのが良い。

ミス・マープル」「シャーロック」「MI:5」など

英国ドラマもあってうれしい。

BBCの「ホワイトチャペル」はかなり面白かった。

 

マーベル発ドラマの「エージェント・オブ・シールド」は、

マーベルと日テレの契約の都合とは思うが、

1週間に1話ずつ吹き替えのみの配信で字幕派には冷たい。

S2以降どうするのかもわからない。

 

「クローザー」の続編スピンオフ「メジャークライムス」は

今後、配信されるのかが気になる。

「クローザー」はS1は9月末、S2は10月末で配信終了だそうで、

S7まで順次配信終了の可能性もある。

いつでも見たいと思うと、やはり全シーズン入りのDVDBOXが欲しい。

 

Netflixではオリジナルドラマが増えそうだ。

Netflixオリジナルの「スクリーム」はS1全10話配信中。

結構面白かった。S2以降も楽しみ。

これもティーンズ向けかと思うが、

「ヘムロック・グローブ」よりテンポが良いので、一気見向け。

サービス開始以来話題の「オレンジ・イズ・ニューブラック」も好評の様子で、

いずれ見る予定だ。

 

つい最近Amazonプライムでも定額での映像配信が始まり話題になった。

まだまだ番組は少なく様子見ではあるが、

過去の国内アニメ作品を多くそろえているようで、

HuluやNetflixよりは、バンダイチャンネルと似た感じだ。

HuluやNetflixにはない作品もいくつかある。

後発ではあるが、プライムは年間で3,900円と月単価は相当安い。

プライム会員になって6年くらい経つが、

リビングのテレビで見られないこともあり、

番組を見たことはない。

テレビでも見られるようにするには、

FireTVstickを買わないといけない。

サービス開始時にセールをしていたが、

ACアダプタ付きなので、テレビ回りの配置換えが必要なので、

今回は買わなかった。

配信内容が充実次第といったところである。

 

 

ネット配信のドラマは、多少偏った内容の方が向いていると思う。

ゴールデンタイムに家族団らんで見るドラマよりは、

一人ひとりの好みに応じた大人向けのドラマが増えるだろう。

ネット配信がもっと充実してくれば、

海外の番組を多く放送していBS・CS放送も

構成も変わるかもしれない。

ネット配信は、海外の番組を見るチャンネルが一つ増えただけでなく、

どの番組をいつ誰が見ているのかが明らかなサービスである。

ここ10年、地上波では、

映画や海外ドラマの放映は少なく、

見たい人だけが見ている状態である。

偶然に見る機会がないと、今後ファンは増えないだろう。

こうした月1,000円程度の配信サービスが充実すれば、

偶然の出会いも増えるのではと期待している。

 

 

テレビドラマシリーズ「ハンニバル」の見どころ

前の記事からひと月が経過していた。

 

2015年9月にサービスが始まったNetflixで

「アメリカン・ホラー・ストーリー」を見たり、

Huluで「クローザー」を見たりしていた。

おかげで最近めっきりツタヤに行かない。

ちょっと前に返却予定日に台風が来て慌てたこともあり、

返却不要のストリーミング配信にどっぷりである。

 

で、タイトルの「ハンニバル」である。

シーズン1も2もツタヤでレンタルして見ているのだが、

Huluでじっくり2回目を見ているところである。

映画「羊たちの沈黙」や原作をなぞりながらも

独自の物語であり、非常に面白く気に入っている。

Hannibal (2013– ) on IMDb

 IMDBでも高評価(2015年9月現在で8.6)だが、

シーズン3で打ち切りらしい。

映画化する話もあるらしいが詳細は不明。

シーズン3には、リチャード・アーミテージも登場するのだが、

勿体ないので何とかならないものかと思う。

せっかくなのでざっくり見どころを上げてみよう。

 

豪華キャスト

みなさんご存じ、主人公ハンニバル・レクター

人食いレクターであり、殺人犯であるわけだが、

ドラマではまだ誰も気が付いていない状態から始まる。

元外科医の精神科医。

趣味は音楽鑑賞と絵画、そして凝った料理と殺人。

優雅にして俊敏、そして尊大で傲慢なカリスマ的殺人鬼であり、

精神科医の知識を生かして巧みに人を操る策士でもある。

アンソニー・ホプキンスインパクトが大きい中、

本シリーズでハンニバル・レクターを演じるのはマッツ・ミケルセンで、

最初は違和感もあったが、あっという間に馴染んでしまった。

マッツはプライベートはジャージ姿が多いが、

183㎝と長身を生かした着こなし上手で、

胡散臭い柄物スーツと派手なネクタイ姿も見どころ。

 

デンマーク出身の俳優で現在49歳。

俳優ラース・ミケルセンの弟。

兄ラースは192㎝とさらに背が高い。

www.imdb.com

 

一方、もう一人の主人公ウィル・グレアム(ヒュー・ダンシー)は、

FBIでは捜査官ではなく、クワンティコの訓練生に犯罪心理を教える教官だ。

市街地から離れた家に一人暮らしで犬をたくさん飼っている。

釣りが好きと言う設定もあり、

スーツ姿より、カジュアルで不器用さを感じさせる服装が多い。

精神的には不安定だが、プロファイラーとして非常に優秀で、

事件現場で、独自の見立てにより犯人像を明らかにする。

趣味は釣りと疑似餌作り。

 

ヒュー・ダンシーはイギリス出身の39歳。

テレビドラマ「ホームランド」の主演女優クレア・デーンズの夫でもある。

夫婦して眉間にしわを寄せて、鬼気迫る演技が上手。

www.imdb.com

 

もう一人の重要人物、

ジャック・クロフォード(ローレンス・フィッシュバーン)は、

FBI行動科学課課長として捜査を仕切る立場にある。

映画「羊たちの沈黙」や「ハンニバル」では

主人公クラリススターリングと折り合いが悪く、

浅薄で嫌味な上司として登場するが、

こちらのシリーズでは少々異なり、

とても頭の切れる、常識的な人物であり、

ウィルとハンニバルの二人の共通の友人でもある。

髭が特徴的。妻の病気に苦しんでいる。

 

 口の真下にちょこっとだけ生やした髭がおしゃれさん。

www.imdb.com

 

ローレンス・フィッシュバーンは大柄で強面だが、

知的で洗練されたイメージがある俳優だ。

マトリックス」シリーズのモーフィアス役はかっこよかった。

クロフォードの妻を演じるジーナ・トレスとは実生活でも夫婦。

www.imdb.com

 

他のドラマで活躍している俳優が多くて、

ゲストスターもとても豪華なのも見どころ。

 

シーズン1~

 ジリアン・アンダーソン(精神科医ベデイラ・デュ・モーリア

 「Xファイル」のダナ・スカリー

 「ザ・フォール 警視ステラ・ギブソン」のステラ・ギブソン 

  ささやきボイスで美魔女感満載。

 

 ジーナ・トレス(クロフォードの妻ベラ)

 「スーツ」のジェシカ・ピアソン

   実は長身。

  ジェシカ役では強気なイメージだが、こちらでは病気で弱っている。

 

シーズン2~

 シンシア・ニクソン(FBI監察官プルネラ)

 「セックス・アンド・ザ・シティ」のミランダ・ホッブス

  ネット情報によれば、映画「ハンニバル」のクレンドラーにあたる人物。

  脳みそ食われるのかな。

 

シーズン3~

 リチャード・アーミテージ(フランシス・ダラハイド)

 「ホビット」のトーリン・オーケンシールド

  未見。映画「レッドドラゴン」ではレイフ・ファインズが演じてた役。

  

 TAO(千代)

 日本出身の女優。「ウルヴァリン・サムライ」など 

 レディ・ムラサキと関係があるのかは不明。

 

また、ヴィンチェンゾ・ナタリニール・マーシャルなどの監督も参加している。

 

大角の鹿

このハンニバルとウィル、そしてジャックを交えた3人のやり取りが

物語が進むにつれ、抽象的で哲学的になってくる。

大筋では、物語の進行とともに、

3人の関係と、ウィルの精神状態が変化するが、

ハンニバルは基本的にあまり変化しない。

同時並行する凄惨な殺人事件は芸術的なまでに手の込んだものとなり、

不穏な空気が濃く漂ってくるのである。

 

シーズン1では、当初からウィルは精神的に不安定にあり、

途中何度も揺れ動く心象を描いたシーンが挟み込まれている。

それはウィルの目線を通した、ウィルの頭の中の世界であり、

ウィルの心の乱れを見ることが出来る。

シーズン2では、ウィルの心は何か強く確信したような意志を感じる。

 

この物語において当初殺人の舞台装置に使われた鹿が、

事件、殺人、死、邪悪さを象徴するかのように、

ウィルの頭の中では何度も何度も登場する。

 

時に歩き回り、時に襲い掛かり、時にただ佇むのである。

鹿は、ウィルの中にある死、または殺人の誘惑を象徴すると考えられる。

そして、鹿は、角を生やした真っ黒な悪魔のような、

ハンニバルを思わせる風貌の人間の姿になる。

人をただ殺しその肉を食べるという、

ハンニバル・レクターの振る舞いとその心理であり、

「純粋な悪」を象徴しているのではないかと思われる。

 

大きな角の鹿は、このドラマ独自の要素なのだろう。

羊たちの沈黙」では、映像としては出てこないが、

クラリスにとって、羊は死の象徴だった。

このドラマでもトマス・ハリスが関わっており、

小説とイメージが大きく離れることはないが、

基本的には独自の物語となっている。

過去の映画や小説で出てきた人物やエピソードが

違う状況で登場したり、別の描き方をされていることがあり、

小説や映画と比べてみても面白いかと思う。

 

真面目な話はさておき、この黒い人、どう見てもせんとくん

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www.amazon.co.jp

せんとくんプロフィール | 奈良ねっと(奈良の暮らしと観光情報)

 

 

ついでながら、音楽は物語と同様に暗く不穏な雰囲気を漂わせており、

打楽器を多用したサウンドが印象的である。

 

衣装

ハンニバルに限らず、登場人物の衣装が、柄物が多く、

レベルの高いおしゃれ感が漂う。

一般人が真似するとやけどするレベルにおしゃれだ。

特にハンニバルのセンスが際立つ。

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ペイズリー模様のネクタイにウィンドウチェックのスーツ。

大体こんな感じ。

どうやらドラマオリジナルのオーダーメイドらしい。

マッツ以外には着こなせないインパクトがある。

女性たちも華やかで、柄物が多い。

アラーナ・ブルーム(精神科医)は

DVF風のラップドレスみたいなワンピースが多い気がしたが、

見直してみると、カットソーとタイトスカートの方が多いかも。

コート姿でもスカーフが華やかで、暗い映像の差し色になっている。

デュ・モーリアがヒョウ柄のコートを着ていたり、

フレディ(記者)がライダースジャケットを着ていたりと、

キャラクターと服装がよく合っている。

 

魅惑的な食事

エピソードのタイトルに料理の名称を使っている。

シーズン1はフレンチ、シーズン2は日本料理だった。

シーズン3はイタリアンのようだ。

内容と料理そのものは直接的な関係はなさそうだが、

何かと料理を作ったり、食事をとるシーンが多く、

これだけでもとても費用と手数がかかっていることがわかる。

 

ハンニバルの趣味は、手の込んだ料理とそれをふるまうこと。

人肉については詳しく知らないが、

感染症などの恐れはないのだろうかと不思議に思う。

 

ハンニバルの魔術的な犯行

ハンニバルのやり口はときに魔法をかけたかのようである。

シーズン1で、ウィルの精神が不安定になり壊れていく様は、

病気なのか、ハンニバルによるものなのか、

曖昧にされており、魔術のようでもあった。

詳細はシーズン2で判明するのだが、

ハンニバルの手口は魔法や偶然には頼らない、

具体的で実践的な手法である。

ただ、視聴者は、ハンニバルの行いを知っている。

それは、

「このシーンは、偶発的に見てしまったものなのか、

 見るように仕向けられたものなのか」

と言う迷いを生み、サスペンスが生まれるのだ。

ウィルとジャックは、ハンニバルの手のひらで踊っているに過ぎないのか。

それとも、ハンニバルを見抜いているのだろうか、と疑うようにできている。

一度通して見た後に、もう一度じっくり見てみるのもおすすめだ。

 

まとめ

ハンニバル」の見どころ。

1.豪華キャスト

2.鹿=黒いせんとくん

3.映画や小説の要素の取り入れ方

4.衣装のセンス

5.飯うまそう

6.ドリフの「志村!後ろ!後ろ!」

 

追記

鹿エプロンもあるよ。

www.nbcuniversalstore.com

死体についてあれこれ。

だいぶ放置してしまった。

 

昨日の行ってきたイベントでひたすらグロい死体の映像を見てきた。

ホラー映画好きとしては、死体描写には慣れているし、

ある程度パターンがあることも知っているが、

やはりマエストロによってセレクトされたグロ映像のつるべ落としを食らい、

思い出したことや感じたことがあったので、

その感想のメモを上げておく。

 

虫プロダクションプレゼンツ

 夏だ!海だ!死体だ!納涼!?超グロ映画ナイト

場所は高円寺中通り商店街のとあるバー。

グロ映像のセレクトはホラー・マエストロことナマニク氏と、

死体映画評論家にして蛆虫プロダクション代表真鍋厚氏による。

夜の7時から約3時間、延々とグロ映像を見てきたのであった。

 

≪フィクション編≫

主にホラー映画の死体描写について。

  •  死体の処理は面倒くさい。
  • 処理に困って薬剤で溶かすのも大変。
  • 死体を溶かす描写では、肉付きの良い女の死体が絵になる。
  • 死体の処理は、食事とセットで描かれがち。
  • 人間の体の描写によって、コメディ寄りになったり、シリアス寄りになったり。
  • コメディ寄りだと人間の体はやけに脆くすっぱり切れたり潰れたりする。
  • 近年(ここ2年ほど?)流行の「生きたまま腐る」系だと、腐るのは若くて細身の女性、エロありが多い。今後は変則が増える可能性あり。*1
  • 蛆が沸く前にはハエがたかるはずだがその部分は飛ばされがち。*2

 

≪ノンフィクション編≫

ドキュメンタリー映像や、動画投稿サイトによる本物の死体について。

  • 皮下脂肪は黄色い。
  • 脂肪が多いと検視も大変。(肉に埋もれて内臓が取り出しづらい)
  • 司法解剖で脳を取り出した後は、綿やぼろ布を変わりに入れて縫い合わせる。
  • 取り出した脳はY字切開した胴体に、他の内臓と合わせてしまう。
  • タイの人は死体におおらか。
  • ハゲタカによる鳥葬にロマンはない。
  • 腐敗臭は服に染み込みやすい。
  • 死体は思わぬところにある。
  • 国や文化によって死体への感覚はさまざま。 

 

ホラー映画にしてもドキュメンタリーにしても、

死体の映像は、強烈で人によっては不快感極まりないと思われる。

私はホラー映画好きでもあり、フィクションには抵抗はない。

正直言って慣れる。

現実としても、誰もが最後は死ぬわけである。

死体は放置するわけにはいかないので、

日常の生活では見えないところで処理されているのである。

そこに興味を持つ人がいても良いと思うし、

嫌悪する人がいるのもしょうがないと思う。

また過去には死体の処理に関わる職業が軽蔑されることもあった一方で、

非常にあっさりと、その辺で死体を燃やしたり、

簡単に捌いてハゲタカに食べさせる風習もあったりする。

死後の世界のとらえ方や信仰と同じくらい死体もとらえ方がさまざまである。

 

と言うわけで、今後ともよろしく。

 

*1:「スリーデイズ・ボディ 彼女がゾンビになるまでの3日間」(2014年)

*2:テレビドラマ「CSI:科学捜査班」ファンならご存知の通り、ハエは目や口など柔らかい粘膜に卵を産み付ける。また蛆が沸くにも種類によって順番があり、そこから死亡した時期をかなり正確に推定出来る。

 

映画「ジュピター」を見た(速報)(ネタバレ有)

サクラサク。

すっかり春。

花粉症でなくとも目がかゆくなる季節。

 来る3月28日公開の「ジュピター」をIMAX3Dで見てきたので

記憶と気持ちが新鮮なうちに感想を書くことにした。

 

公開初日だというのに、

既に評判は微妙で、大外れの予感もあった。

だが。

だが、である。

マトリックス」で知られるウォシャウスキー姉弟の初IMAX3D作品だ。

見ないわけにはいかない。

IMAX3Dは、大人一人2,200円、二人で4,400円と決して安くはないのだが、

普通料金の1,800円でがっかりするくらいなら、

ドドンとIMAX3Dで行くことにした。

少しでも興行成績に貢献したい気持ちもある。

もはやパトロン喜捨みたいな感覚だ。

前作「クラウドアトラス」はやったら長いようで、

オムニバスみたいで、とっ散らかった印象があり、

残念ながら、いまいちと言わざるを得ない出来だった。

今度は、完全オリジナルだし、

何しろ、チャニング・テイタムなのである。

きっと楽しいはず

と、超前向きな姿勢で臨むことにした。

 

・・・

 

で、どうだったか。

良かったよ。私は好きだな、これ。

楽しかった。

もう、展開が少女マンガ!

いちいち夢見がち!

ロマンチックが止まらない!!

見ていて照れる。

恥ずかしい。

キャ━━(*ノ∀ノ)━━ァ

(テンション上がってきた)

 

チャニング・テイタム、良かった。

マジック・マイクよりちょっと肉ついているけど、良かったよ。

犬顔にするためマウスピースを入れていたかららしい。

エディ・レッドメインも良かったよ。

そばかす可愛いよね。

(本編と関係はない)

ミラ・クニス、相変わらず目大きい。

(これも本編とは関係ない)

まつ毛も長い。

トイレ掃除が仕事なのに、きっちりメイク。

でも、目が大きいのに、キラキラしてないんだな。

ちょっとゴルゴ線あるし。

エディの方が、目、キラキラしてた。

 

そういえば、ジュピターの役は、

最初は、ナタリー・ポートマンに話が行って、

次にルーニー・マーラー、

ミラ・クニスは三番手だったようだ。

ナタリー・ポートマンでは、お堅すぎる気もする。

また、ルーニー・マーラーだと、

サイド・エフェクト」(2013)再びだったところだ。

 

但し、駄目出しされるのも当然かと思った。

細かいところが凝っているにも関わらず、

同じく細かいところで片手落ちと言うか、

「あれ、何だったの?」な箇所も多くて、

もったいないというか、惜しいというか、詰めが甘い。 

 

ケインのキャラクター設定、勿体なかったな。

伝説の傭兵って?

何故に王族嫌いなの?

顔色悪いと思ったらアルビノだって。

つけ鼻の次はつけ耳か。

そうそう、カリーク姉さんは、何したかったの?

「収穫」って効率悪くないか?

大体、あっち行ったりこっち行ったりし過ぎだ。

インターステラーだったら50年くらい経過しているところだ。

スティンガーと娘はどうなったの?

などなど。

 

アクションも微妙にダサい。

宇宙空間のバトルシーンも顔のアップが多過ぎだ。

チャニング・テイタムのアクションは、

ダンスの動きを入れて欲しかった。

一方で、会話劇の部分が単調で、

バストショットかアップが多く、

台詞も説明的過ぎだ。

 

でもね、細かいことは良いの。

だってロマンチックなんだもん!

もうそれで押し切った感あるある。

私もチャニング・テイタムにおんぶされたーい。

・・・とは思わなかったけど、

ジュピターがピンチの度に、

何度でも、駆けつけては助けてくれる。

ジュピターからすれば、

「絶対私のこと、好きだよね」

って感じで駆けつけてくる。

「陛下(your highness)」だって、もう。

呼ばれる度にニヤニヤしてるし。

形式だけとはいえ、結婚式の最中、

指輪をはめるその瞬間に花嫁を攫いに来るだなんて、

シチュエーションも乙女な感じがするし、

最後の崩壊する木星でも、絶対に間に合うだろうし、

きっとハッピーエンドだろうな、と予想がついて、

安心設計なクライマックスであった。

 

メカや内装はレトロ調で、

衣装や、刺青、アクセサリーなど凝った細部とも合っていた。

植物をモチーフにしたウェディングドレスも、

ミラ・クニスに似合っていたし、美しかったのではあるが、

洗練さに欠ける。

プラダディオールだったらもっと良かったのに、と思ってしまった。

news.walkerplus.com

 

それにしてもウォシャウスキー姉弟は、

清水玲子とか松本零士好きなのか?

銀河鉄道999か、はたまたキャプテンハーロックか。

宇宙でもシャンデリア!

宇宙でもマント!

何故かしゃがれ声!

 

 

では、世間の評判をちょっと見てみようか。

Jupitâ (2015) on IMDb

 IMDbでは5.9といまいちな評価。

(2015年3月28日時点)

 

 偶然見かけたのだが、abcnewsのレビューでは、3.5だった。

「壮大な宇宙の物語を作ることは素晴らしい試みだが、

 素晴らしい作品ではない」

・・・異論はない。

abcnews.go.com

 

 

TheNewYorkTimesは厳しい。

「細部に拘っているが、あっちこっち行き過ぎ」とのこと。

「花の頭の飾り、エリザベス・テイラーだったら文句言うレベル」とか。

http://www.nytimes.com/2015/02/06/movies/mila-kuniss-dizzying-orbit-in-jupiter-ascending.html?_r=0

 

 

個人的には、星7つ。

甘々なのは承知している。

 

 

追記 ショーン・ビーンは最後まで死にませんでした。