サマリタン

映画、本、毛糸もろもろ。

地球へ・・・

4月7日土曜日からスタートした新番組「地球へ・・・」(テラへ)
竹宮恵子原作。
僭越ながら、ご紹介させていただきたい。

ご存知の方もいらっしゃるだろうが、相当前に映画化され、アニメとしてはリメイクにあたる。
実は、ワタクシ、この映画が大好き。
原作、パンフレット、シナリオ、キネマ旬報の特集号などなど、
古本屋で関係書籍を見かけたときは、必ず買い込んできた。
ストーリー、テーマ、絵柄、キャラクター、映画、すべてが私のツボ。

遠い未来、人類は地球から遠く離れた星で暮らしている。
一見して平和に見える日常生活。
しかし、わずかながら、かつて地球にいたころには居なかった人々、
超能力を持つミュウといわれる人々がいる。
彼らは、そうではない人々から疎まれ、憎まれ、排除される存在であり、
新しい能力は、恐れ、不安、混乱、争いをもたらすものとして、
徹底して、否定され、隠れて暮らすことを余儀なくされている。
ミュウは特殊な能力と引き換えに、体力は低く、精神的に繊細で、鋭い感性を持つ。
そして、人々から隠れずに暮らせるよう、いつか故郷の地球へ帰る日を望んでいるのである。

また、この世界では、子どもはすべて試験管ベビーであり、
生身の女性から生まれる人間は誰も居ない。
機械が選定した二人の男女が子どもを養育することになる。
そして、子どもはすべて14歳になると同時に育ての親から引き離される。
深い愛情、共感、強い好奇心は警戒される。
記憶、命、心、すべてに番号が振られ、管理される世界。
それは人類が互いに争うことのないように、心を統制し、
人類の所業によって傷ついた地球の回復のため、
いつか故郷へ、地球へ、帰るためのシステムなのである。

同じく、ミュウのリーダーであるソルジャー・ブルーと、盲目の預言者フィシスは、
小さな母船で長い間待ち続けていた。
新しい希望をもたらすであろうジョミー・マーキス・シンの目覚めの気配に気づくが、
14歳の誕生日、目覚めの日を迎えるジョミーも、
人類を背負う天才、機械を母に持つキース・アニアンも、
まだ何も知らないまま、少年期を終えようとしている。

この物語はすでに完結しているが、
現実の世界は、この物語と同じ課題を抱えたままなのだ。
「心」や「生命」に番号をつけ、分類し、管理することが何をもたらすのか。
私たちは、一体何に向かっているのか。
ときに恐ろしさに身がすくむのである。

今日の一言。
「命につく名前を心と呼ぶ」(中島みゆき