サマリタン

映画、本、毛糸もろもろ。

怒りの作法


昨日、夕方にコンビニで買い物をしたときである。

レジに数人の列が出来ており、

店員は忙しそうであった。

私の三人ほど前の男性客が、

若いアルバイトと思しき店員相手に、

「そんな入れ方じゃあ、下のものが潰れちゃうだろ」

「だめだめー」

と言っているのが聞こえてきた。



どうやら袋詰めが気に入らなかったようである。



最初は落ち着いた物言いだったのであるが、

店員も、すいませんと小声で言うだけである。



その態度が良くなかったのか、

客の方は、語気が強くなった。

「君、アルバイト?」から

「責任者を出せ」まで言い出した。



レジは二つ。

隣のレジの人がヘルプに入っていたところで、

私は店を出てしまったので

どう決着をつけたのかは知らない。



ちらりと見た感じでは中高年で、

仕事帰りでもなさそうなカジュアルな服装。

事情はよくわからないが、

虫の居所が悪かったのであろう。



だが、何ともなく不快で横柄な態度であった。



コンビニやスーパーの店員のミスに対して、

とても強い言い方で叱りつける人と言うのは

確かに一定数いるらしいし、

この男性客も「そういう人」なのだろうと思った。



「お客様は神様」だと思っているのか、

「上から目線」も甚だしい。

言うことが間違っているわけではないが、

だからと言って正しいというわけでもない。

正しいからと言って、詰問する権利があるわけでもない。


態度が悪い店員がいるのも知っているし、

気の利かない、

客の様子を伺いもしない態度に

いらいらする気持ちも、

全く分からないでもないのだが、

ここは、「最高のもてなし」を期待する店ではない。



24時間営業で108円均一(一部除く)、

生鮮食品もあるし、

大きなスーパーに行けないときには重宝している。



店員の未熟さや気の利かない対応込みで、

安くて便利なのだと思っている。



感情のままに、

言い返しづらい立場の人のミスを

人前で問い詰めている方が、

よっぽど狭量で子どもじみているように見えるものである。

苦情を伝えることと、怒りをぶちまけることは違う。



おそらく、年長の店員(責任者かはわからない)が

男性客に謝罪したのであろう。

何でも謝罪すればいいわけではないが、

一旦怒りを収めてもらるためには、謝るしかないだろう。 

そして、一通り怒って、謝罪を受けたら、

ちゃんと収めてもらいたいものである。  

怒り方にも作法があるのだと思っている。

公共の場であればなおさらである。



そして私も立派なオバサンになろうと思うのであった。